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河野談話の検証結果についての新しい歴史教科書をつくる会の見解

慰安婦の真実」国民運動の加盟団体でもあります「新しい歴史教科書をつくる会」が、6月20日に政府が公表した河野談話の作成過程に関する有識者会議の報告書について下記の通り見解を発表しました。


河野談話の検証結果についての「つくる会」の見解

平成26年7月29日
新しい歴史教科書をつくる会

(1)政府は去る6月20日、平成5年の河野談話の作成過程に関する有識者会議の報告書を公表した。この報告書は、「河野談話の検証は行うが談話の見直しは行わない」とする政府の方針の枠組みのもとで行われたという限界があり、さらに、強制連行があったかどうかなどの事実関係の検証には踏み込まず、談話の作成過程に限定した調査であるという制約をもったものであった。

報告書の内容においても、対象とする時期を1991年8月の朝日新聞の報道によって慰安婦問題が持ち上がった時期以降としているにもかかわらず、そもそもこの朝日の報道が、「14歳で母親によってキーセンに売られた」と証言している元慰安婦を、挺身隊として強制連行されたと書く明白な誤報であったという事実に触れていない。このように、随所で問題の本質からあえて目を背ける表面的な記述が目立ち、さらに事実関係について何ら反論してこなかった政府・外務省の責任についても言及していない。

(2)しかし、こうした欠陥や弱点はあるものの、この報告書がもつ意義は極めて大きい。このような表面的で不十分な調査によってさえ、慰安婦強制連行説の虚構性が疑問の余地無く露わになり、河野談話はまったく実体のないものとなってしまったからである。以下、報告書の内容について、3つのポイントを挙げる。

第1に、河野談話は、慰安婦の実態に関する事実に基づいて書かれたものではなく、強制連行の証拠が見つからないなかで、韓国政府の強力な要求に日本政府が屈服し、双方が都合良く読める玉虫色となるようにつくられた文書であることが明らかとなった。例えば、慰安婦の募集についての軍の関わりについて、韓国側は、「軍又は軍の指示を受けた業者」がこれに当たったとの文案を提案したが、日本側は業者に対する軍の「指示」は確認できないとして、軍の「要望」を受けた業者、との表現を提案した。その後、「指図」を韓国は提案したが日本は受け入れず、最終的には軍の「要請」という言葉に落ち着いた。いわば政治的談合によってつくられた、実体から遊離した文書であったことが白日のもとにさらされたのである。

第2に、従来、河野談話の公表以前に16人の元慰安婦の聞き取り調査を政府が行ったことが、あたかも河野談話の事実認定の根拠であったかのように喧伝されてきたが、それは誤りであることが明らかになった。河野談話の原案の全文は慰安婦の聞き取り調査が行われる以前にできあがっていたからである。これによって、今後、16人の調査結果を議論する意味はなくなった。16人の「証言」は矛盾だらけで誰一人として整合的に強制連行を説明できた者はおらず、「証言」の裏付け捜査も一切なされなかった。しかし、そうしたことを検証するまでもなく、河野談話はそれらの「証言」とは無関係につくられたのである。

第3に、当時の日本政府は、強制連行の証拠はなく、従って強制連行は認められないという認識で一致していたことが明らかになった。しかし河野洋平官房長官は政府全体のその認識に背いて、記者会見の場で強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、「そういう事実があったと。結構です」と述べた。これによって、河野談話が強制連行を認めた文書であるとする誤解が世界中に広まったのである。この驚くべき事実は、今回の調査報告書で初めて明らかにされたことであり、個人の責任に言及した事実経過の報告はこの種の文書としては異例のことである。

 (3)「慰安婦の真実国民運動」は、7月14~16日、ジュネーブの国連委員会に調査団を派遣した。それによって明らかになったことも踏まえ、当会は以下のことを強く主張し、政府に要求する。

第1に、政府の集団的な合意に反し、独断で個人的見解を記者会見で発表した河野洋平氏の責任は極めて重い。河野氏は「報告書には引くべき所も足すべき所もない。すべて正しい」と述べているが、だとすれば、なぜ、あのような誤った認識を述べたのか、国会は河野氏を証人喚問し、国民の目の前で問いただすべきである。

第2に、今回の調査で、慰安婦の強制連行を示す証拠はなく、したがって「強制連行」や「性奴隷」などの言葉によって日本を貶める言説に何の根拠もないことが明らかになった。したがって、日本政府は、河野談話は強制連行を認めたものでは決してないことを、世界に向かって積極的に宣伝する義務がある。従来のように、性奴隷などの非難に対し、外務省やその在外機関などが「日本はすでに謝罪している。お見舞い金を支払っている」といった自国の犯罪を認めるに等しい弁明をすることは絶対にやめなければならない。そして事実関係に踏み込んで、日本の潔白を主張しなければならない。ジュネーブの国連委員会で、日本政府の代表は初めて「性奴隷」という言葉に反論したが、7月24日に発表された同委員会の最終見解では「性奴隷」という言葉が使われた。今後は対外広報を充実させ、外務省の他に対外広報を主任務とする機関を新設すべきである。

第3に、上記のような宣伝に努めたとしても、一度出できあがった河野談話のイメージは、一朝一夕で消し去ることのできるものではない。それに加え、河野談話があまりに韓国に譲歩しすぎており、またその英訳が不正確であることも問題である。外務省はまず河野談話の英訳をホームページから削除すべきである。国際社会に広まった誤解を解くためには、最終的には河野談話の全面撤回が必要である。慰安婦強制連行や性奴隷制度などの捏造された汚名を今後の日本人に負わせることは耐え難い。これは民族の名誉に関わる問題である。そして現在の日米関係を損なわないためにも、真実の歴史を回復することは重要であり必ず近い将来には撤回する決意を固めることを、政府当局者に強く求める。

第4に、調査団の活動によっても、国連のあり方に重大な問題があることがわかった。とりわけ、いわゆる人権問題を審議する諸機関の構成と運営は、諸国間の友好・協調よりもむしろ対立・紛争をつくり出すように機能している。今後、国連の個々の委員会の廃止を含む抜本的な改革が必要である。

以上