昨年12月28日、「12月18日にソウルにて性奴隷派がシンポジウム開催」と題して報じたが、このシンポジウムに吉見義明中央大学名誉教授が「日本軍「慰安婦」問題研究の成果と課題」なる論文を寄せ、公表していた。(下に掲載)
吉見義明といえば、1992年に慰安婦に軍が関与していた資料を発見したと報じられて、それが原因で、当時の宮沢喜一首相が韓国で8回も謝罪したということで有名になった研究者だ。
だが、軍専用の民間慰安婦施設で、慰安婦の性病の蔓延の防止等、軍として必要な関与はしていたものの、あくまでも民間の施設であり、軍の設置した軍の施設ではなかった。今日では当時言われていた軍による慰安婦の「強制連行」は存在しなかったことが明らかになっており、また慰安婦は慰安婦施設の経営者と契約を結んで慰安婦施設に入り慰安業務をこなしていたことが、アメリカのハーバード大学教授ラムザイヤー等によって明らかになっている。
そこで吉見の本論文では冒頭で「従軍慰安婦」という用語を避けて「日本軍「慰安婦」」という用語を用いることにしたと言っている。その点では資料に忠実で、「捏造」も「改竄」もしていないといえよう。
が、軍「慰安婦」は「性奴隷」であったとは許されない飛躍だ。確かにこの論文で指摘しているのだが、1935年、内務省警保局は「公娼制度対策」という文書で「奴隷にも等しき公娼を認めつつあるが如きは我国家本来の面目を存すること著しきものあり」とあり、慰安婦の慰安婦施設での就業実態に、あたかも「性奴隷」かのような実態がある場合がありえたかもしれない。だとしても、慰安婦施設の経営者との間で契約書を交わして業務に従事していたとすれば、制度としての「性奴隷」ではありえない。交わした契約書に照らし合わせてみて、慰安婦施設内で、違反行為や、そして違法行為、不法行為があった場合、その賠償責任は、慰安婦施設の経営者が負うべきもので、軍が負うべきものではないであろう。軍専用の施設であり、軍があって初めて存在する慰安婦施設であるから、慰安婦施設内で起こった違反行為、違法行為、不法行為に対する賠償責任は軍が負わなければならないというのは法的には成りたたないことである。女性への強制性交は男性がいることによって起こることであるから、全ての男性はバッシングされなければならないという飛躍と同程度の飛躍であろう。
すなわち日本軍の慰安婦施設で働いた韓国の元慰安婦は法的に成り立たない賠償を求めているというべきである。
なおかつかかる違反行為や違法行為、不法行為による賠償には、法的には時効というものがあって、戦後になって一定期間内に提起した損害賠償でない限り、訴えられた側に賠償責任は生じないはずだ。賠償問題では、たとえ軍に賠償責任がある場合でも、つまりそこから延長していって日本政府に賠償責任があるとした場合でも、戦後しばらくは日本と韓国の間には交渉がなく、その間、時効が停止していたとしても、日韓の国交が始まった1960年に結んだ請求権協定で、日本は韓国国内の賠償責任は負わなくてよいことになったので、日本国政府に対する賠償請求に相当するものは韓国政府に対して行うべきものになったのである。
すなわち、旧日本軍に対する慰安婦業務に従事した韓国慰安婦が日本政府の損害賠償を求めるのは、法的には2重にも3重にも4重にも成り立たたないことなのだ。
吉見義明のこの論文は、前述のように、「捏造」や「改竄」はないものの、制度的に「性奴隷」でないものを「性奴隷」といい、法的に賠償責任の存在しない日本政府に賠償責任があるかのように見せているので、これは「詐偽」ということになるのではないか。
吉見義明がこの論文で「詐偽」を行っているといえるとすれば、明らかに吉見義明は研究者の資格を失っているといえるのではないか。
韓国国内で本来請求できない請求を日本政府に行っているいわゆる性奴隷派の運動に、このような「詐偽」といえるかもしれない論文を発表して加担する吉見義明は、それを取り巻く周囲の状況から見て、なぜ韓国国内の慰安婦の運動に加担するのか、それを問われてよいことになりはしないか。日本軍の慰安婦をとなっていた者には日本女性も多数いる。そうした女性の問題はなぜ問題にしないのか。ソ連参戦の際のソ連兵による日本女性への強制性交はひどかった。そうしたことにはいっさい触れないで、日本軍における韓国の慰安婦のみを問題にするのは、研究者として必要な「知的公正さ」「知的素直さ」「知的誠実さ」を持っていないといえるのではないか。だとしたら、吉見義明は研究者としての資格を根本から持っていないといってよいのではないか。
もともと軍隊には有史以来、姓の問題が付きまとっている。現在に存在する韓国軍隊にも性の問題は存在する。そうした問題をいっさい問わず、日本軍における韓国慰安婦のみを対象にして、「性奴隷」ではないのに「性奴隷」だとして、そして成り立たたないのに成り立つとして賠償を追及する韓国国内の運動に、吉見義明はなぜ加担するのか。そんなことによって日韓の信頼関係の構築がいかに妨げられているといえるか。そんなことを考えれば吉見義明には研究者としての資格がないのみならず、邪悪な政治的意図を持っているとまで言ってよいということになるのではないか。
以下、吉見義明の当該の論文を掲載しておく。